「イチゴさん最近少し太ったんじゃない??なんか乳首も大きいし妊娠してたりしてw」
事の発端はそんな何気ない長女のひとこと。
「まさか〜!」と言いつつも、飼い犬のトイプードルの体がなんだかふっくらしてきたのは否定できないし確かに乳首も大きい気が、、、 (・・;)
妊娠したということはそういう行いがあったということだ。
それを考えると100%否定できない。前回の発情期に実はヨークシャテリアのコテツさんと未遂があったのだ。
でもまさかその一回で、、、!?
イチゴは避妊、コテツは去勢手術をまだ済ませていない。
金丸家が軽くざわついた。
一度受診することにした。
たぶん妊娠してないでしょ、そしたら避妊の手術の相談てことでね(^_^;)
ってことでいざ受診。
「避妊の手術の相談で来ました、、、、ただちょっと、、、妊娠疑惑がありまして、、、」
先生は体を見て
「あ〜〜〜〜〜〜」ってw
やっぱり?やっぱりアウト?( ;∀;)
すぐにエコーで確認してくれる。
一昔前に何度も見た事のある映像によく似たお腹の中の映像。
トクトクと細かく動く部位をたぶん先生より早く発見してしまった。
マジかーーーーーーー!!!
マジかーーーーーーー!!!
二頭確認ができた。
これ以上増えてどうすんの!っていう気持ちはもちろんあるけど、やっぱり新しい命の誕生って素直に嬉しくて。
すぐに修学旅行でグアムにいる長女にもラインで報告。
どっちも動揺しまくってて会話が噛み合わないw
さあ大変だ。
子犬を迎える準備をしなくちゃ。
先生の読みではあと2週間で生まれてくる!
なんてことだ(°_°)
とはいえ、予定日もはっきり定められないし赤ちゃんの育ち具合によっては帝王切開なんていう可能性も。
何よりもイチゴはトイプードルの中でも特に小さく体重も普段は1.8kgしかない華奢な体なのだ。
約1週間後に再度受診し出産の計画をしようということでその日は帰宅。
身重の体とわかったからには扱いが変わってくるw
気づいてあげなくてこれまでゴメンね、、、。
それから数日は生まれてくる子犬の名前を考えたり、ゲージを置く場所を考えたり、、、。
ところが。
次の受診を翌々日に控えた日の夜、イチゴに異変が。
落ち着かない。
いつもしない姿勢をとっている。
トイレシート辺りをウロウロするけど用は足さない。
お母さんになる準備かな?
本能ってすごいね。
まあ今すぐどうこうってことはないよね。
それからほどなくトイレシートの辺りに行くと踏ん張るような格好をする。
寝床を巣作りするように掘りまくる。
なんだか女としての勘?が働いた。
「これ、、、生まれるんじゃない、、、!?(◎_◎;)」
ネットで検索。
お産の兆候にピッタリ当てはまる。
こりゃ大変だ!
古いタオルを用意する。
へその緒を切る時に使うタコ糸とハサミ、そしてハサミを消毒するためのお湯をすぐ沸かせるように鍋に水を張る。
だけどだけど、大丈夫なの!?
何かあったら、、、
何かあったら困る、、、!
近くの動物の救急医を調べる。
案の定近場ではやっているところはなさそうだ。
もし骨盤を通らなかったらどうしよう、、、。
子犬ばかりじゃなく母体にもしものことがあったら、、、。
不安は募るが、何よりもイチゴの飼い主である次女さんがいたたまれないほど不安そうな顔をしている。
「大丈夫、人間なんかより犬の方がよっぽど本能でちゃんと出産するよ!イチゴもお母さんになるために頑張れるよ。」
私と夫は、人生を共にするようになってからこれまで何かあるたびにそうしてきたように、
「大丈夫!」と顔を見合わせお互いを、そしてそれぞれが自分の心にも再度確認した。
覚悟は決めたけど心の中ではお産が長引いて翌日の朝一で病院に連れて行った方が安心だという頭もあった。→全然覚悟できてない(T ^ T)
とりあえず今夜は寝れないものと思っていて正解だろう。
長丁場になることを見据えて私はお風呂を済ませることにした。
脱衣場で服を脱ぎ始めたそのとき、、、
「生まれた!」という声が、、、!
え!?!?!?!?!?
どゆことどゆこと!?!?
駆けつけるとトイレシート近くに黒い物体が!!!
夫がタオルタオル!と叫んでいる。
私は下半身パンツ一丁で洗面所の水道の水がお湯になるのを待ってタオルを絞った。
そばに来た長男に、すぐに長女とビデオ通話を繋いでくれるようお願いした。
慌ててタオルを持って行ったけどすでに末っ子が持ってきてくれた乾いたタオルの上にたった今生まれ落ちたばかりの子犬と思われる黒い物体が乗っていた。
夫が子犬をさすりながら困り果てている。
私は震える手でほんの十数分前に検索したばかりの犬の出産についてのサイトを開き、下へ下へとスクロールして子犬が息をしない場合の部分を読み上げた。
“こういった場合は犬の赤ちゃんをぶんぶん振り回して水を遠心力で追い出したりします。
柔らかいので頭が飛んでいかないように支えながら
くわで畑を耕すように上から下へ振り下ろすのです。”
夫は「困ったな、、、頑張れ、、、!頑張れ、、、!」と小さく呟きながら必死に子犬を指示通り振ってみたり、心臓部分をマッサージするように指で押したりした。
ビデオ通話で繋がった長女が口から吸うように言っている。
夫はそれに従い小さな小さな子犬の口に自分の口をつけ吸った。
でも、、、、、
でも、、、、、
私の頭の片隅の冷静な自分は少し前から気づいてしまっていた。
これ、、、ダメなやつだ、、、。
よく見たらね、まだ形にもなりきってなくて、顔も、、、
うっすら目や鼻が形取られているだけ、、、。
手はかなりしっかりしてた。
口を吸ってあげれたくらいだから、口も形があった。
足の方は、、、全部形になってなかった。
これは、、、えらいね、、、、、。
夫も手を止めた。
子どもたちもあっという間の出来事でよく状況を把握できなかっただろう。
明日の朝になったら埋めてあげようね、、、タオルにそっと包んだ。
イチゴは理解しているのかよくわからなかった。
でもお腹にはまだもう一つの命。
一度始まったお産が一頭で止まるとは考えにくい。
そのうち出てきてしまうだろう、、、。
程なくしてイチゴはまた黒い物体を産み落とした。
今度はさらに小さくて「胎盤かな!?」と半信半疑。
イチゴが食べようとしているのか羊膜を破ろうとしてるのかわからないけど食べてしまいそうな勢いだったので引き離し、夫がまた手で羊膜を破った。
すでに息がないのは同じだ。
「早く出てきちゃったんだね、、、」
そっとタオルに包んだ。
末っ子は随分長いことコタツに潜って泣いていた。
長女とは「また何かあったら連絡するからね」と電話は切っていた。
次女と長男は、、、どんな気持ちでいたのかわからない。
夫は子どもたちを慰めよう、励まそうと声をかけていた。
小型犬の出産は難産や死産も多く、無事に生まれてくるのはとても困難なようだが、
今回のことはあまりにも突然で、そしてその光景は大人にとってもショッキングなものだった。
女性の方がそういったものに免疫がある場合が多いと思うが、
私にとってもなかなかショックが大きかった出来事だ。
そう考えると実際に手を尽くしてくれた夫のそれは相当なものだっただろう。
翌日も「こんなにダメージ受けるとはな、、、」と力なく呟いていた。
家族それぞれがどのくらいこの出来事と悲しみを消化できたかはわからない。
イチゴもしばらくは次女のそばを片時も離れず、次女がトイレとか何か用で動こうとすれば鳴いてあとを付け回したが、
それでも三日ほどかけて落ち着きを取り戻した。
小さくても命の重みをずっしりと感じた出来事だった。
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4人の子どもたちが不登校という経験から、同じような境遇で悩んでいる人たちの居場所をつくりたいという想いで活動しています。
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子ども4人不登校からの学び