それはある日の出来事。
末っ子が2歳になったばかりの頃、お昼寝はいつもドライブしながら寝かせていた。
その日も昼過ぎに、ATMに寄る用も兼ねて末っ子を乗せ出発した。
普段よく使う裏道。
見通しの悪い十字路。
十字路を直進する私の視界の隅に車が見えた気がした。
『え、、?』
と思ったのと同時に衝撃を受け、ぶつかったことを自覚した。
一時停止の標識を見落とした車が突っ込んで来たのだ。
十数年前に同じく事故にあっていることと、今回は息子を乗せていることもあって、私は動揺もしたが冷静さも失わなかった。
気がつくと助手席側を下にして車は横になっていた。
驚いて声も出ない息子に
『大丈夫だよ!すぐ(チャイルドシートを)はずしてあげるからね!』
『大丈夫だからね!』と声をかけ続けるのと同時に携帯で夫に電話をかけた。
一刻も早くきてもらいたいから、用件だけを簡潔に、、、そう思って電話に出た夫に
『事故だから!すぐ来て!』
と、大きな声でハッキリと。
『わかった!』
と答え電話を切る夫。
完璧だ。
余計なことは一切言わず綺麗に用件だけを伝えた。
私は自分のシートベルトをはずし息子の元へ。
チャイルドシートのベルトをはずし、
『大丈夫ですか⁉︎』
『自分が100%悪いです!』
と言いながらバリバリに割れた後部座席後ろの窓から覗く、私の車に突っ込んで来た運転手に
『子どもがいるんで!受け取ってください!』と、バリバリに割れたガラスの間から息子を渡した。
自分もどうにか脱出し息子を受け取り
『ビックリしたね〜』
『もう大丈夫だよ』
と抱きしめた。
口の中でガラスの破片がジャリっと音を立てた。
携帯に夫から着信があった。
『どこ⁉︎ ◯◯は無事⁉︎ ケガは⁉︎』
ここでやっと、大事なことを何も伝えていなかったことに気づく。
ケガはないことを伝え場所を説明した。
寒い時期で、通報で駆けつけたパトカーに乗り夫を待った。
足のスネと首がすごい勢いで痛み出した。
首はみるみるうちに回らなくなった。
息子も見た感じケガはないが救急車に乗り一緒に病院に行った。
病院でズボンをまくりあげると血だらけだった。
首はひどいむち打ちで1週間激痛と闘い、その後も半年病院に通った。
後ろから追い上げてくる車も信用できないが、横から出てくる車も信用できなくなった、
という話。