『嫁ぎ先が果樹農家である』
ということは結婚当初は全く自分とは関係のないもののように思っていた。
結婚して2年は2人でアパート暮らし。
長女の出産に合わせて実家に入った。
それでもまだまだ他人事だったと思う。
実際、初めての育児に追われ、農園を手伝う余裕はなかった。
夫も勤めていたので
『義父母がやっていること』
という認識だった。
6年前、私たち家族にとっての転機のときから畑に入ることになった。
受け入れられなかった。
嫌で嫌で仕方なく、泣きながら作業をしたことも、、、。
夫婦喧嘩の険悪な雰囲気のまま作業したことも、、、。
果物は待ってくれない。
休んでいる暇はない。
それから1年、また1年と年を追うごとに慣れていった部分もあるが、私も夫もいろんな葛藤を抱えながら本当に苦しい年もあった。
それが今年は今までとは違った心境で畑仕事に出ることができている。
もっと忙しくなれば、こんなふうに穏やかではいられないかもしれないが、今のところは平和に作業をこなせている。
畑に対して、
1本1本の木に対して、
そして土や草、ふっくらと膨らんだ桃の蕾、
伸びる細い枝の先にまで
愛おしさを感じる。
私も夫も、今まで見ないふりしてきた自分とよく話をするようになったからじゃないだろうかと思っている。
どんなに辛いときも、
『畑なんて、、、』と心で呟いた日も、
毎年変わらず実を実らせ続けてくれたサクランボと桃の木に、今心からお礼を言いたい。
大きな愛で包んでくれてありがとう。