子ども4人不登校からの学び

サクランボと桃の発送事情。〜お願い、そうっと運んでね〜

サクランボも桃も発送にはめちゃくちゃ気を遣っている。
どちらもとても繊細な果物で、人の手に触れる回数は極力少ない方がいいしちょっと箱の角に当たってしまったとか、ちょっと強く持ってしまったとか、そんなことであっという間に傷んでしまう。

収穫中に間違って落としてしまったものは、たとえその場ではなんの傷もついていないとしても即「ハネだし」行きだ。

選果には細心の注意を払っている。
お客さまの手元に届くまでの長い道中、真夏の高温の中、狭い箱に詰められて車に積まれてガタゴトと揺られながら移動するにはしっかりしたものでなければ耐えられない。
一つでも傷んだものが入っていたとして、あっという間に箱の中でカビたりして全体が台無しになってしまう。

そんなことを考えながら慎重に箱詰めしてはいるものの、シーズンに1〜2件は傷んでいたと連絡が入る。
忙しい中、流れ作業でやってるので見落としがあるのも確かだ。

連絡いただけたことに感謝し、丁重にお詫びし、お客さまとお話しした上で注文内容と同じものを再送するとか返金するとか、そのときできる最善のことで対応させていただいている。

そして参考のために写真を送っていただいてるのだが、今年あった問い合わせの2件とも、、、
こちらがどんなに見落として変なもの入れてしまってたとしても、ここまで、、、!?
と目を疑うような状態だった。

残念だけど、配送されてく中でのことだろうなぁと思わざるを得ない傷み方だった。

過去に、配送業者が桃の箱を蹴るように(投げるようにかな?)手荒に扱ってるのを見たことがあるという話を聞いたことがあるけど、
確かに配送されてく道中では何度人の手によって積み下ろしされ、車を乗り換え事業所から事業所へ運ばれていくのかと考えると、多分想像してるよりもずっと多くの人が携わってくれて積み直してくれて、、ってやってくれてるんだと思う。

中には荒っぽくなっちゃう人もいるよね、、、。

それに、果物がそんなに繊細だなんて知らないんだと思う。
私だってこの仕事をしてなかったら全くそんなこと考えもしなかっただろう。

ちょっとくらい「ドンッ」て置いたからって中身に支障が出るなんて夢にも思わないかも。

だから今年は集荷のおじさんに言ってみた。(だいたい毎日同じおじさんが来てくれるし、この数年変わってないから顔馴染み)

「〇〇さんはいつも丁寧に運んでくれるけど、中には荒っぽく運ぶ人もいますか?
この間お客さんが傷んでたって連絡くれて写真を見たんだけど、もしかしたら運ばれてく途中で傷んだんじゃないかなぁっていう感じだったんですよね。」

おじさんはキャラ的にも、ハッキリ答えるタイプじゃないから笑
少し答えに困ったような感じでモゾモゾと何か言ってたけど、
私も自分の中に遠回しに「〇〇さんも気をつけてよね」というメッセージが無意識に乗ってただろうなと自覚したからそれ以上はなんとなくその場は終わった。

そしてサクランボが終わり桃になるわけだけど、
サクランボと違って桃は一箱一箱が、まぁ重いわけで。

集荷に来てくれるのは私たちよりかなり人生の先輩だし、荷物が数個ならともかく私たちのところはとにかく荷が多いから申し訳なくなる。

桃の発送も終盤の頃、その日もたくさんの荷になったわけだけど、いつもの担当のおじさんは忌引で休みだと前日に聞いていた。

代わりに来てくれたのは何年か前に毎日来てくれてたおじさんで、名前も顔もよく知ってるおじさんだった。

その日は私たちの箱詰めも準備が遅くなってしまったのもあるけど、集荷に来てくれたのも事業所に持ち込む時間に間に合うのか!?ってくらい遅かった。

少し前にやっぱり桃が傷んでたと連絡が入っていたこともあり、(その時の写真も、「こんなことあり得る???」ってくらいの傷み方で、選果ミスでいくら傷モノが入ってたとしてもこんなことにはならない。これは箱を落とされたな、、、っていうひどいものだった)

おじさんが大急ぎで荷物の バーコードを読み取り次々と車に積み込む様子をヒヤヒヤしながら陰で見守り、「時間ないのにたくさんですみません、運ぶの手伝います」と言っては見るものの、「大丈夫よ〜」と言われて何もできず引っ込んだ。

その後おじさんはヘルプを呼んだ。
駆けつけたのもまたシルバーな人材の方。
軽バンには、よその農園の桃の箱が高く積み上げられ、助手席の後ろから雪崩を起こしそうなほど傾いてる(;´Д`A

「おいおい大丈夫か〜!?」
笑えない状況の中、たまらず一言言いに行こうとしたら夫も同じく声をかけに行こうとした感じで。
私は夫を止め「待って、私が行く」と言った。
こういう時は『健全なエロ』で、おじさんには男が言うより私が言った方がまだいい。歳は若い子にはかなわないとしても笑。

私は作業してるおじさんの側まで行き「時間がない中悪いけど、私たちがこの一年大事に育てた桃なんです。そうっと運んでもらえますか。」と伝えた。

こういうことには慣れてないから多少顔も強張り声も緊張した様子だったと思う。

私に言われたおじさんは、気まずかったのか少し離れたところで作業してるもう一人のおじさんに「聞いたけ!」と声をかけた。

「私はあなたに言ったんです、わかってくれましたか?」って、そんな冷静なことは言えず、

「私が言いますから」と、もう一人のおじさんのところへ。

同じように声をかけると
「そんなことは当たり前さぁ、大丈夫よ。」と返された。

当の私は、実はこの時のことを3日くらい引きずった笑。

後味が悪いっていうか、私のこと嫌な感じって思われたかなとか、
それもあるけど、正体のわからないモヤモヤというか重苦しい出来事の後の余韻が消えなかった。

数日後に、
「ああ、私、感謝を忘れてたからかなぁ」とか、
「自分の嫌な一面、、、普段出さないような、人に文句をつけるような自分を出したから罪悪感かなぁ」とか考えてた。

まぁ、普段出さない一面とは言っても心の中で文句言ったりは全然よくあるんだけど笑。

感謝については、おじさんたち毎日暑い中、重い荷物をたくさん運んでくれて、そんな人が何人、何十人といてくれるおかげで無事にお客さまの手元に届いてるってことに関しては本当にありがたく思ってるから、
そんな感謝を少しでも伝えた後に「そうっと運んでね」とお願いできればよかったかなぁなんて。

北海道、沖縄、九州の一部を除く地域には翌日に届くんだから、ナマモノを送る身としては、本当に感謝しかない。日本てすごいね。

しかも今はその荷物一つ一つについてるバーコードで、あらゆる情報を管理してくれてて、今どこにあるのか、何時に中継地点に到着したのかなどすぐにわかるんだから。

しかもしかも、時間指定つけ忘れたとか、事情があって急遽配送先を変更したいとか、そんなイレギュラーなことにも対応してくれる。

ただ、たくさんの人が関わってくれてるから、反面、誠実じゃない人も中にはいる。

だからこそ無事に荷物が届くのって奇跡だと思ってる。
「サクランボ届いたよー!」
「桃届いたよー!」の連絡に心からホッとする。

あと、今回のことで私は自分がサクランボも桃も、ほんとに大事に思ってるんだなーって自覚した。
それはまさにわが子を送り出すようなものだ。

可愛がってもらうんだよ、喜んでもらうんだよ、
そんな気持ちが自分の中にあることに気づいた一件でもあった。

全国の配送業者のみなさん、ありがとう!

 

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勇気づけアドバイザー金丸由貴子

勇気づけアドバイザー

金丸 由貴子

47歳。果樹農家の嫁。元介護職。 4人の子どもたちが次々に学校に行かなくなり人生を問いただされた39歳から8年経過。 夫とともに自己探求しながら、毎日みんなで笑顔で過ごせるのが何より大事ということに行き着く。 2023現在、長女21歳、次女19歳、長男15歳、次男13歳。